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「人間工学を活用した内視鏡技師の3つの視点」に関する意見交換会を開催


「人間工学を活用した内視鏡技師の3つの視点」をテーマに
 山下病院 常見 麻芙 先生と
 本拠点研究者 堀 寧 特任助教 林 香月 准教授を含む
 名市大 医療スタッフ との 意見交換会を開催

令和3年12月17日に、内視鏡医療環境の人間工学実践として先駆的に取り組んでいる山下病院の常見麻芙(Mafu Tsunemi)先生をお招きして、「人間工学を活用した内視鏡技師の3つの視点」というテーマでご講演いただきました。
今回の研究会は、近未来労働環境デザイン拠点におけるプロジェクトの一環として、研究開発課題3の研究分担者の堀 寧 特任助教、林 香月 准教授らの主導により開催したものです。内視鏡従事医師の筋骨格系障害(MSDs)は、海外では非常に重要視されその研究成果はいくつか報告されておりますが、日本では私たちのグループが先導して透視下内視鏡治療のMSDsの実態・軽減法を提唱しております。
しかし、実際の医療現場では医師のみならず、看護師・技師などのコメディカル協力のもと治療を成し遂げています。私たちのグループは、この内視鏡医療従事者のMSDsというテーマに関連するすべての部門で意識を共有する必要があると考えております。そこで、内視鏡医療従事者としてコメディカルの視点から様々な研究成果を報告されている常見先生をお招きして、名古屋市立大学病院の看護師・技師を対象にご講演いただき意見交換会を開催しました。
常見先生はSit-stand endoscopic workstationsという概念を報告されており(Tsunemi M et al. Endoscopy. 2020 52(9): E324-E325. doi: 10.1055/a-1122-8020.)、内視鏡治療中に立位拘束姿勢を続けることはMSDsの観点から望ましくなく、適宜椅子に座るなどの方法で拘束姿勢を解除することを提唱されています。
研究課題3では、内視鏡医療従事者のチーム作業に着目し、動作やコミュニケーションをセンシングし、内視鏡行動変容を促す介入技術の検討も進めており、とても貴重な視座を提供いただきました。

Sit-stand endoscopic workstations:内視鏡治療者は立ったまま治療を行うことが多い(左図)が、椅子を導入し適宜座る(右図)ことで拘束姿勢を解除できMSDsを軽減することに寄与する。(Endoscopy. 2020 52(9) より改変)

当日の様子1:講演される常見先生

当日の様子2:参加したスタッフ

当日の様子3:近藤主任からコメント

意見交換会では、内視鏡看護部の近藤主任より「私たちが内視鏡処置中に座っていることは、さぼっているようで良くないことだと思っていました。今回の講演を機にSit-stand endoscopic workstationsを取り入れようと思います。」と前向きなご意見を頂きました。今回の意見交換会を通じて、患者さんの健康を守るためには、私たち医療従事者が健康に仕事できる環境が必要であるというSDGsの基本的理念にも通じる内容で大変勉強になりました。常見先生のご講演の中で、「未来のためにできることを今から始める」という言葉が特に心に残りました。その理念を実践すべく、私たちの病院にもSit-stand endoscopic workstationsで使用されていた椅子を近日導入します。

医学研究科消化器・代謝内科学: 堀 寧 特任助教
医学研究科消化器・代謝内科学: 林 香月 准教授