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研究課題3の研究成果論文が12/15に掲載されました!


肩への負荷を減らそう!
内視鏡医師の筋骨格系症状を人間工学的に軽減するために


上部消化管の内視鏡検査では、曲がりくねった消化管の中で内視鏡が正しい位置にあるかどうかを確認するために、X線透視検査(特殊なX線撮影)が行われることがあります。しかし、レントゲン撮影は放射線被曝を伴うため、内視鏡医は鉛を含んだ重い放射線防護エプロンを着用しなければなりません。また、正確で安全な処置を行うために、長時間、静止した状態で立ち続けることや、複数の処置を行うことも少なくありません。そのため、筋肉や神経、骨などを痛める筋骨格系の障害が起こりやすくなります。しかし、内視鏡医の労働環境を改善するために、手順や使用する機器、部屋での配置など、実際に実現可能な対策はほとんどないのが現状です。

オリジナル論文はこちら: http://doi.org/10.1055/a-1594-2037
論文タイトル: Ability of ergonomic timeout to reduce musculoskeletal discomfort related to fluoroscopic endoscopy
著者: Yasuki Hori, Taisei Nagai, Kazuki Hayashi, Hiroyuki Izumi, Kiyoko Yokoyama, Takeshi Ebara
DOI: 10.1055/a-1594-2037
連絡著者: ebara@med.nagoya-cu.ac.jp

このたび、名古屋市立大学大学院医学研究科・芸術工学研究科等の研究者たちが、人間工学に基づいたシンプルで革新的なアプローチ、PoRT(practical load-on-the-shoulders releasing technique、頸肩部負荷軽減法)を提案、その効果を検証しました。
PoRTとは、一定時間作業を行った後のマイクロブレイク(1分以内の休憩時間)時に、親指で鉛エプロンを肩から持ち上げるという「ちょっとした工夫の実践」です。定期的に肩への負荷を解放するという、誰にでもすぐに実践できる、ちょっとした配慮で、内視鏡治療時の頸部の屈曲角度を人間工学に基づいた姿勢に整え、頸肩部の筋骨格系症状の抑制にも寄与することが示されました。
具体的には、PoRTの効果を検証するため、上級内視鏡医を対象に、[休憩なし]の作業、20分後と40分後に[小休憩あり]、20分後と40分後に[小休憩+PoRTあり]という5つの作業条件で頸部・体幹角度変化や自覚的局所疲労感を評価しました。頸部・体幹の角度はウェアラブル加速度計を用いて測定しました。
その結果、PoRTを組み合わせた小休憩を実践することで、内視鏡医が日中、より長い時間、頭部と体幹の角度を理想的な人間工学的姿勢(中立姿勢)に近づけることができることが分かりました。また、頸肩部・腰部の自覚的局所疲労感も時間の経過に伴い増加していきますが、疲労感を抑制する効果が確認されています。これは、単に小休止を定期的に取るだけでは認められなかった効果です。
この簡単に導入でき、コストもかからない人間工学的対策は、透視処置を行う内視鏡医にとって、より安全で健康的な職場環境を作り出すことに寄与する可能性があります。常時肩にかかる負荷を解放すること、ちょっとした工夫で内視鏡医療従事者の負担を軽減する可能性が示唆されたことは、とても興味深いことです。